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世界のカレー大辞典
(東南アジアのカレー編
 ■東南アジアのカレーについて
東南アジアも香辛料をよく使用して料理をすることが多いですが、日本では、香辛料を使った料理のことを大概にしてカレーと括る傾向がありますので、カレー料理をよく食べると言えなくもないのですが実は、東南アジア諸国に「カレー」という言葉はないのです。 東南アジア周辺の料理を日本では「タイカレー」「ジャワカレー」「ミャンマーカレー」などと地域名+カレーの名前で呼ばれることがあります。しかし、東南アジアのカレーは、香辛料の使い方などに大きな違いがあるため、カレー粉で作られるカレーとは大きく異なるものが多いのです。
 
 1. タイのカレー
タイにはタイ語でゲーンと呼ばれるスープ状の食品があります。タイの宮廷で発祥した料理で、インドのカレー料理との直接の関連性はないと言われています。しかしながら、複数の香辛料を用いるという類似性から、タイ国外では、タイカレーと呼ばれます。ゲーンは、唐辛子とココナッツミルクを基本としたものが主流となります。使用するスパイスによりレッド、グリーン、イエローに分けることが出来ます。具材は海老、鶏肉などが使用されることが多く、様々な香辛料がうまく配合されていますので、辛い、酸っぱい、甘い、しょっぱいの4つの味を楽しむことが出来るでしょう。現在ではカレー粉を用いたゲーンのレシピも存在し、ポン・カリー(カレー粉)と呼ばれ、プー・パッ・ポン・カリーなどに用いられています。なお、タイでカレーと呼ばれているものは、日本式のカレーライスのことです。

 2.インドネシアのカレー
13世紀にマルコ・ポーロが「この世の香辛料が全て採れる」と狂喜乱舞したジャワ島や、ナツメッグ、クローブの産地だったモルッカ諸島など、インドネシアでは紀元前より中国、インド、アラビア商人による香辛料貿易が行われており、高価なスパイスを求めたヨーロッパ諸国が新航路を開拓しはじめ、大航海時代の幕開けとなったのです。インドネシアには大小合わせて3000以上の島が点在していますが、その料理は、香辛料を求めて過去に海外から訪れた様々な民族の影響を受け、現在も島それぞれに料理の特徴があります。例えば、西スマトラのパダン料理は、中近東やインド方面のイスラム文化に影響を受けた「ルンダン」のような肉を多用する辛い煮込み料理が特徴的です。ヒンドゥー教と仏教の影響を受けたジャワ島では中国の影響を受けた「ソトアヤム」などが見られます。バリ島はヒンドゥー教徒が多く、イスラム教で禁忌とされる豚肉も用いられます。
 
. 3.マレーシアのカレー
多民族の国マレーシアは、主にマレー・中国・インド・ニョニャの4つの国の料理を味わうことができます。マレー料理で出されるチキンカレーは、ココナッツミルクを使用しており、辛さの中にもまろやかさがあります。その他にラクサにもカレーをベースにしたものが多く見られます。ウダン・ルマ・ナナッスというココナッツミルク入りのカレーをベースに、エビやパイナップルを入れた煮込み料理があります。スパイシーな中にまろやかさがあり、ニョニャ料理の定番メニューです。フィッシュヘッドカレーはシンガポールが発祥で、鯛の頭がまるごと入ったダイナミックなカレーです。これをみんなでつつき、カレーをかけながら食べます。魚のだしと野菜の甘み、スパイスの絶妙な味わいで、酸味があってさっぱりとしています。
 
 4.カンボジアのカレー
カンボジアは、東南アジアのほぼ真ん中に位置し、周辺諸国の食材や調理法を様々に取り入れています。カリーと呼ばれるクメールカレー料理は、古来から訪れていたインドや隣国タイの影響も見られますが、強烈な辛さはなくマイルドです。魚、ココナッツミルク、カレーペーストをバナナの葉で包んで蒸した料理「アモック」や、レモングラス、こぶみかんの葉、エシャロット入りのカレーペーストに、ココナッツミルクや砂糖などを加えたクリーミーな「クメールチキンカレー」は、日本人にも食べやすい味わいです。「サムローカリー」は、鶏肉やサツマイモ、タマネギ、タケノコが入ったココナッツの効いたスープカレーです。カンボジアの米麺をサムローカリーにつけて食べるカリー・ノムバンチョクという料理もあり、一度口にしたら忘れられないおいしさです。  
 
 5.ベトナムのカレー
特に、南ベトナムはインドの食文化の影響を受けているそうで、カレー料理が浸透しています。「カーリー」と呼ばれ、「カーリー・ガー」は、チキンカレーを指します。ベトナムのカレーは、スープのようにサラッとしており、辛さは控えめでマイルドです。具材は鶏肉、アヒル、カモなどを骨付きで用いられ、じゃが芋かさつま芋を加えます。市場では、さまざまなスパイスが配合されたカレー粉やカレーペーストが売られています。これに生のレモングラス、スターアニス、シナモンなどのスパイスとココナツミルクをたっぷり加えて作られることが多いようです。白飯、米麺にかけて食べたり、フランスパンにつけて食べます。
 
  6.シンガポールのカレー
シンガポール名物のフィッシュヘッド・カレーは、この国が人種と文化のるつぼであることを象徴する一品でしょう。南インド特有のスパイスと、中国人にとっての珍味である魚の頭を組み合わせたダイナミックなカレーで、南インドのケララ州出身のシェフが1950年代に中華料理で使われる魚の頭を材料に作ったのが始まりといわれています。魚の頭と野菜を香辛料でじっくり煮込んだ、旨味の効いたスパイシーな味ですが、タマリンドペーストを加えて酸味を際立たせたものや、ココナッツミルクを加えてさらにクリーミーに仕上げたものなど、カレーソースにも若干のバリエーションがあります。
 
 7.ミャンマーのカレー
ミャンマーのカレーは、「ヒン」という煮込み料理が該当しますが、ミャンマー語では、おかず全般のことを「ヒン」と呼んだり、ヒンだけで「ミャンマー風カレー」指すこともあります。玉葱とトマトを大量の油で煮込みますが、とにかく油が多めで、こってりしています。インド料理の影響から調理するときは水を一切加えず野菜の水分のみで仕上げるので、とても濃厚な味わいとなります。スパイス、レモングラス、こぶみかんの葉、魚醤、発酵大豆の粉といった東南アジアのスパイスやハーブを使ったチキンカレー「チェッターヒン」、ポークカレー「ウェッタンシプヤン」などが有名です。
 
 8.ラオスのカレー
ラオス料理は、東南アジアでは珍しく、もち米を主食としているのが特徴です。ハーブなど山と川の幸をふんだんに使った素朴でヘルシーな料理が数多くあります。カレーは隣国タイの影響が色濃いものとなっています。「グェン」はカリーや煮物を意味し、「グェン・キョワン」はグリーンカリー、「グェン・ペット」はレッドカリー、「グェン・カ「」はイエローカリーを指します。
 
 
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